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グローバル化が進む現代、異なる国に住む家族間での相続や、複数の国にまたがる財産の相続、いわゆる「国際相続」はもはや特別なケースではありません。しかし、各国の法律や税制、手続きの違いから国際相続は非常に複雑になりがちで、適切な知識と準備がなければ思わぬトラブルに発展しかねません。
この記事では、特に日米間の相続を例に、国際相続における日本の相続税の計算方法、課税範囲、そして避けては通れない注意点と対策について、専門家の視点から詳しく解説します。
日本の相続税が課される範囲は、被相続人(亡くなった方)と相続人(財産を受け取る方)の居住地や国籍、そして過去の居住歴によって細かく定められています。
日本の相続税における納税義務者は、その範囲によって「無制限納税義務者」と「制限納税義務者」の2種類に大別されます。
相続や遺贈で取得した国内外すべての財産が日本の相続税の課税対象となります。
相続や遺贈で取得した日本国内にある財産のみが日本の相続税の課税対象となります。
【具体例】 アメリカで生まれ育ち、生涯アメリカに居住していた父(米国籍)が亡くなり、その財産3億円(すべて米国内)を、日本に長年住む娘(日本人と結婚し日本在住)、アメリカに住む母と兄(共に米国籍で日本居住歴なし)がそれぞれ1億円ずつ相続したケースを考えてみましょう。
この場合、日本に住所を持つ娘は「無制限納税義務者」となり、相続した1億円に対して日本の相続税の申告・納税義務が生じます。一方、アメリカに住む母と兄は「制限納税義務者」ですが、日本国内の財産を取得していないため、日本の相続税申告は不要です。
相続税を計算する上で、「法定相続人の数」と「課税価格」が基礎となります。
基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)や、生命保険金・死亡退職金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)の計算に用いられます。この人数が多いほど、控除額が大きくなり税負担は軽減されます。重要なのは、海外に住んでいて日本の申告義務がない相続人も、日本の民法上の法定相続人として数に含めることができる点です。上記の例では、母・兄・娘の3名が法定相続人となり、基礎控除は4,800万円(3,000万円 + 600万円×3人)となります。
相続税を計算する際のベースとなる金額です。上記の例では、父の全財産3億円のうち、日本で申告義務のある娘が相続した1億円が、日本の相続税計算上の課税価格の合計額となります。(もし母や兄が日本にある財産を相続した場合は、その財産も課税価格に加算されます。)
上記のケース(課税価格の合計1億円、法定相続人3名、基礎控除4,800万円)を例に、具体的な計算ステップを見ていきましょう。
課税価格の合計額から基礎控除額を差し引きます。 1億円−4,800万円=5,200万円(課税遺産総額)
課税遺産総額を、法定相続分(このケースでは母1/2、兄1/4、娘1/4)で取得したものと仮定して、各人の税額を計算します。
上記で算出した各人の仮の税額を合計して、「相続税の総額」を求めます。 340万円+145万円+145万円=630万円
相続税の総額(630万円)を、実際に財産を取得した人の課税価格の割合に応じて振り分けます。今回の例では、課税対象となる財産1億円のすべてを娘が取得しているため、娘が支払う日本の相続税額は630万円となります。
国際相続であっても、日本の相続税の申告・納税期限は原則として「相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内」です。海外での遺産整理や送金手続きは1年以上かかることも珍しくなく、期限に間に合わせるのが難しい場合があります。その際は、判明している範囲で一旦申告・納付を行い、後日「修正申告」や「更正の請求」で調整するのが一般的です。納税資金の準備が間に合わない場合、「換価猶予」などの制度もありますが、これは最終手段と考えるべきです。
時価1億円以上の有価証券などを保有する居住者が国外に出国したり、非居住者に贈与・相続したりする場合、「国外転出時課税(出国税)」が適用される可能性があります。
対象者が国外転出等をする際、その有価証券を譲渡したものとみなして、含み益に対して所得税(15.315%)が課税されます。
これは所得税であり、別途、相続税も課税されるため、実質的な二重課税となる点に注意が必要です。
相続の場合、準確定申告の期限(相続開始から4カ月以内)までに納税が必要と非常にタイトです。生前のうちに非居住者には預金を相続させる、あるいは生前贈与で対応しておくなどの対策が考えられます。
アメリカには日本の相続税に相当する「連邦遺産税(Federal Estate Tax)」があり、さらに州独自の遺産税・相続税も存在します。日本との主な違いを理解しておくことが重要です。
日本が財産を受け取る相続人に課税する「遺産取得課税方式」であるのに対し、米国遺産税は亡くなった方の財産そのもの(遺産)に課税する「遺産課税方式」です。納税義務者は亡くなった方本人(実務上は遺言執行者など)となります。
米国市民・居住者の基礎控除額は非常に高額(2025年で約1,391万ドル、約20億4千万円、1ドル150円換算)ですが、米国非居住者の基礎控除額はわずか6万ドル(900万円、1ドル150円換算です。ただし、日米相続税条約の適用により、一定の条件下で控除額が大きくなる場合があります。
アメリカでは、裁判所の管理下で遺産を整理・分配する「プロベート」が原則です。これには1年以上の時間と費用がかかり、遺言書が公開されるデメリットがあります。
プロベートを回避するため、生前に資産を信託に移す「リビング・トラスト」が広く活用されます。また、共同名義口座(ジョイント・アカウント)で生存者受取権を設定しておけば、その口座はプロベートの対象外となります。
米国市民や居住者、グリーンカード保持者などは、米国外の金融資産(FBAR)や外国信託からの贈与(Form 3520)など、IRS(米国内国歳入庁)への様々な報告義務があります。報告漏れには重いペナルティが科されるため、細心の注意が必要です。
日本と海外で同じ財産に相続税が課される二重課税状態を調整するため、日本の相続税額から外国で支払った相続税額を控除できる「外国税額控除」という制度があります。
控除できる金額には上限があり、「日本の相続税額 × (国外財産の価額 ÷ 相続財産の総額)」で計算されます。外国で支払った税額とこの限度額のいずれか少ない方の金額が控除されます。
対象は原則として国税に限定され、アメリカの州税などは対象外となる場合があります。また、配偶者の税額軽減と併用する場合、配偶者が国外財産を取得しない方が、家族全体の納税額を抑えられるケースも少なくありません。
海外不動産などの評価は、現地の評価基準と日本のそれが異なるため、両国の専門家の協力が不可欠です。
日本居住者で、年末時点の国外財産が5,000万円を超える場合、「国外財産調書」の提出義務があります。
国税庁は「国外送金等調書」や「共通報告基準(CRS)」による金融口座情報の自動交換などを通じて、国外財産を正確に把握しています。安易な課税逃れは許されない時代です。
国際相続は、まさに異なる文化や法律が交差する、複雑なパズルです。一つ一つのピースを正確に理解し、適切に組み合わせなければ、決して全体像を完成させることはできません。
ご自身の状況がこれに当てはまるのか、一体どこから手をつければ良いのか、不安に思うのは当然のことです。このような時、まず重要になるのは、信頼できる専門家に相談し、絡み合った状況を一つひとつ解きほぐしていくことです。
税理士法人とおやまは、相続税務の専門家として、お客様が直面するお悩みに真摯に向き合います。
相続はただでさえ大変な手続きですが、海外の財産やご親族が関係する場合、その複雑さは増すばかりです。「自分のケースは国際相続にあたるのだろうか?」「まず何をすべきか知りたい」そうした漠然とした不安をお持ちではないでしょうか。
私たちは、まずお客様のお話をじっくりと伺い、置かれている状況を正確に把握することを最も大切にしています。複雑に見える問題も、専門家と一緒に一つひとつ整理していくことで、課題が明確になり、次に取るべき具体的なステップが見えてくることが多くあります。
ご自身のケースで日本の相続税申告がどのように関わってくるのか、といった基本的な疑問から、今後の進め方まで。まずは当法人の初回無料相談をご活用いただき、胸のうちにある不安をお聞かせください。
お客様が安心して次の一歩を踏み出せるよう、相続税務の専門家として、誠心誠意サポートいたします。