「相続のページを見ました」とお伝えください
03-5285-4123
受付時間 9:00-18:00
定休日 土曜・日曜・祝日
(ご予約いただければ対応します)
「名義財産」という言葉をご存じでしょうか。
これは、被相続人(亡くなった方)がお金を出して、孫や相続人名義の預金通帳や保険契約をすることを指します。
具体的には「名義預金」や「名義保険」と呼ばれます。
一見すると相続税対策になりそうな名義預金ですが、実は税務署から「真の所有者は被相続人である」と判断され、相続財産として課税対象となるケースが非常に多く、相続時に問題になることがあります。
今回は、名義預金・名義保険がなぜ問題になるのか、贈与税の時効との関係、税務署に発覚する理由、そして適切な対策について詳しく解説します。
名義預金とは、「口座の名義人」と「実際の所有者」が異なる預金のことを指します。
たとえば、孫が名義人である預金口座に、祖父が毎年100万円ずつ、10年間にわたって合計1,000万円を入金していたケースを考えましょう。
一般的に、贈与税を申告しなかった場合、法定申告期限の翌日から6年(悪質な場合には7年)で時効を迎えるとされています。
そのため、「10年以上前に祖父からもらったお金だから、時効が成立しているはずだ」と考える方もいるかもしれません。
しかし、名義預金は生前贈与として贈与税の時効が成立することはありません。
なぜなら、税務署は「名義預金は被相続人の預金を相続人名義の口座で預かっていたという事実」と認定するため、そもそも贈与が成立していないと判断されるからです。
贈与が有効に成立するためには、民法第549条にあるように、「贈与する人の意思表示」と「贈与を受ける人の受諾」が必要となります。
たとえば、親が子供に内緒で子供名義の通帳を作り、そこに振り込んでいた場合など、口座の名義人がその存在を知らなかったり、自由に管理できる状態になかったりする場合は、贈与契約が成立していないとみなされます。この場合、その預金は実質的に被相続人の財産と判断され、相続税の課税対象となります。
また、贈与があったことを隠して時効になるのを待っていたなど「偽りその他不正の行為」があったと税務署に認定された場合は、時効期間が7年間に延長されます。
「名義預金は税務署にバレないだろう」と考える方もいますが、実際には高確率で発覚します。
名義預金が発覚する主な理由は、相続税の税務調査にあります。
税務調査では、税務署は被相続人やその親族の預金口座を閲覧する権限を持ち、過去10年間の取引履歴まで厳しく確認します。
具体的には、以下の点がチェックされます。
国税庁のデータによると、申告漏れ相続財産のうち現金・預貯金等が大きな割合を占めており、税務調査で名義預金が発覚する可能性は決して低くありません。
相続税の申告期限後に名義預金の存在が発覚した場合、以下のような重いペナルティが課せられる可能性があります。
これらのペナルティは、自主的に修正申告や期限後申告を行うことで税率を抑えることが可能です。
名義預金と判断されるリスクを避けるためには、以下の点を押さえることが重要です。
贈与契約書については下記の記事をご参照ください。
あわせて読みたい 【贈与契約書 word pdfダウンロードページ付】2つの贈与制度 暦年課税制度と相続時精算課税制度 贈与とは? 贈与とは、自分の財産を相手に無償で渡す契約のことです。贈る人が「あげます」と意思表示し、受け取る人が「もらいます」と承諾することで成立します。 贈...
もしすでに名義預金をしてしまっている場合は、以下の対処法が考えられます。
名義預金は、被相続人が亡くなった際に相続財産とみなされ、相続税の課税対象となる可能性が高いものです。生前贈与が成立していると認められない限り、贈与税の時効は適用されません。
将来、残された家族が多額のペナルティを課される事態を防ぐためにも、生前贈与を行う際は、贈与契約書の作成、銀行振込による記録の残存、そして必要に応じた贈与税の申告といった適切な手続きを踏むことが非常に重要です。
名義預金の問題や相続税対策についてご不安な点があれば、相続税に詳しい税理士に相談することをおすすめします。