
- 贈与とは?
- 贈与税の2つの制度(暦年課税制度と精算課税制度)
- 暦年課税制度と精算課税制度の比較
- 暦年課税制度と精算課税制度どちらを選ぶべきか?
- まとめ
贈与とは?
贈与とは、自分の財産を相手に無償で渡す契約のことです。贈る人が「あげます」と意思表示し、受け取る人が「もらいます」と承諾することで成立します。
贈与は口頭でも成立する
贈与は、贈る人と受け取る人の意思表示が合意すれば、口頭でも成立します。
つまり、「この財産をあげる」という意思表示と「もらいます」という承諾があれば、贈与契約が成立したとみなされます。
しかし、贈与を行う際には、口頭だけではなく、贈与契約書を結ぶことをおすすめしています。
契約書を書いた方がいいのはなぜ?
贈与契約書は、贈与に関する内容を明確に記録することで、将来発生する可能性のあるトラブルを未然に防ぐだけでなく、贈与の事実を客観的に証明することが可能になるためです。
贈与契約書に何を記載するか?

贈与契約書は、専門家である弁護士や税理士に依頼するのが一般的ですが、自分で作成することも可能です。最低限、以下の項目を記載する必要があります。
契約の年月日
贈与者(財産を渡す人)
受贈者(財産をもらう人)
贈与の目的物(財産)
贈与の価額
贈与の条件(あれば)
署名・捺印
贈与契約書の見本のダウンロードはこちらから
贈与税の2つの制度(暦年課税制度と精算課税制度)
贈与税は、財産を受け取った人に税金がかかる制度です。
贈与の課税制度には2つの課税方法があり、『暦年課税制度』と『相続時精算課税制度』という2種類の方法があります。
贈与の目的などにより、どの課税制度を利用するのが良いかを十分検討して利用することが大切です。
暦年課税制度と精算課税制度の比較
区分 | 暦年課税制度 | 精算課税制度 |
---|---|---|
概要 | 毎年1月1日から12月31日までの1年間の贈与額に対して贈与税が課税される制度 | 相続の際に贈与財産を合算して相続税を計算する制度 |
対象 | 贈与者と受贈者の関係性不問 | 通常は、60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与 |
非課税枠 | 贈与を受ける人ごとに年間110万円 | 贈与する人ごとに年間110万円の基礎控除+累計2500万円まで非課税 |
税率 | 超過額に応じて10%~55%の税率が適用 | 年間110万円までは、申告不要 |
申告 | 年間110万円を超えた場合に申告が必要 | 年間110万円までは、申告不要年間110万円を超えた場合には、贈与があった年度に申告が必要 |
相続時 | 相続開始前7年以内の贈与は相続財産に合算 (2031年1月1日以降、3年より前の4年間は合計100万円まで加算されない) | この制度により贈与した全ての財産は、年間110万円を超える部分について贈与した価額により、相続財産に加算される。 |
メリット | ①毎年贈与できるため、相続開始前に財産を分散できる ②7年超の長期間にわたって、贈与をおこなう場合には、相続財産に足されず、贈与税を払うだけで課税関係が完結する | ①毎年110万円の贈与を非課税でおこなうことができ、110万円以下の贈与については、相続財産にも足されない ②税率が20%に固定されているため、高額な贈与を一度に行うことに向いており、相続税の節税効果が高い |
デメリット | 多額の贈与には向いておらず、毎年申告が必要な場合がある | ①土地の相続をしたときに、精算課税制度を受けた財産については、小規模宅地等の特例が使えない ②一度相続時精算課税制度を選ぶと暦年課税制度に戻れない |
暦年課税制度と精算課税制度どちらを選ぶべきか?
精算課税制度を選ぶべき人
①相続税がかからない、または少額な人
②7年以上長生きしないと思っている人
③短期間に多額の財産を贈与したい人
暦年課税制度を選ぶべき人
①7年超の長期間にわたって、110万円の基礎控除を超える贈与をおこなう人
詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
相続時精算課税制度のメリットや注意点について分かりやすく説明します。
まとめ
贈与には、暦年課税制度と相続時精算課税制度の2つの方法があります。どちらを選ぶべきか迷われている方は、ご自身の状況に合わせて、税理士にご相談いただくことをおすすめします。専門家にご相談いただくことで、より適切な贈与の方法を選ぶことができ、将来の相続対策にもつながります。当事務所でも、贈与に関するご相談を承っておりますので、お気軽にご連絡ください。
※本記事に関する無料相談はお受けしておりません。あらかじめご了承ください。