マイナンバーと銀行口座の紐付けは危険?勝手に引き落とされるという誤解と、手続き・手数料を徹底解説

目次

はじめに

マイナンバーカードと銀行口座の紐付けについて、SNSなどで「勝手に税金を差し押さえられるのでは?」「国にすべての資産がバレるのでは?」と不安に感じている方は多いのではないでしょうか。

特に、2024年4月に「口座管理法」が施行され、2025年4月からは制度が拡充されて本格的にスタートしたことで、手続きの必要性について迷っている方もいらっしゃるかもしれません 。
この記事では、マイナンバーと口座を紐付ける2つの制度の違いを分かりやすく解説します。

さらに、万が一の相続時に家族の負担を劇的に減らすことができる「預貯金口座付番制度」と「相続時口座照会制度」について、具体的な手続きの流れや確認方法、必要な手数料、期限についても詳しく網羅しています。 ご自身やご家族の将来の備えとして、ぜひ最後までお読みください。

マイナンバーと銀行口座を紐付ける目的の異なる2つの制度

「マイナンバーと口座を紐付ける」と言っても、実は目的が全く異なる2つの制度が存在します。ここを混同してしまうと不安の原因になるため、まずは違いを整理しましょう。

1. 公金受取口座登録制度

公金受取口座登録制度は、年金、児童手当、所得税の還付金などの「給付金」を国から迅速に受け取るために、国に口座情報を1つ登録する制度です。 この口座を登録しておくと、給付金を申請する際に、口座情報の記入や通帳のコピーを添付する手間が省け、スムーズに給付金を受け取れるようになります。

2. 預貯金口座付番制度(口座管理法)

預貯金口座付番制度は、金融機関に対して自分のマイナンバーを届け出ることで、ご自身の預貯金口座とマイナンバーを紐付ける(付番する)制度です。 2024年4月に「口座管理法」として施行され、2025年4月からは、一度の申請で複数の金融機関の口座をまとめて紐付けできるよう拡充されました。この制度の主な目的は、将来の相続時や災害時に、一つの窓口でご自身の口座の所在をまとめて確認できるようにすることです。

これら2つは別の制度ですので、「公金受取口座」を登録したからといって、自動的に他のすべての銀行口座がマイナンバーに紐付けられる(付番される)わけではありません。

【結論】勝手に引き落とし・差し押さえはされない!資産もバレない

「口座を登録すると勝手に税金が引き落とされる」「資産を国に監視される」といった噂を見かけることがありますが、そのような心配は一切ありません

デジタル庁も、「登録した口座から自動的に税金が引き落とされたり、登録しただけで口座が差し押さえられたりすることはない」と明確に否定しています。 また、マイナンバーの届出をきっかけにして、金融機関が国や自治体にあなたの預貯金残高や取引履歴を自動的にお知らせすることもありません。国が口座情報を確認できるのは、これまで通り、法令に基づく税務調査や社会保障の資力調査などに限られています。

預貯金口座付番制度を利用する最大のメリット

不安が解消されたところで、具体的にどのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。

1. 相続時の「口座探し」が劇的にラクになる

これが最大のメリットです。2025年4月より、生前に口座をマイナンバーに紐付け(付番)しておけば、万が一の相続の際、残された家族(相続人)が「相続時口座照会制度」を利用できるようになりました。 これまでは、故人の口座を探すために、家族が片っ端から銀行を回って照会を行うという膨大な手間がかかっていました。しかし新制度では、一つの金融機関の窓口で申請するだけで、預金保険機構を通じてすべての金融機関に故人の口座があるか一括で照会することができます。これにより、口座の見落としを防ぎ、相続手続きの負担を大幅に軽減できます。

2. 災害時にも口座照会が可能

大規模な災害などで、通帳やキャッシュカード、印鑑などを紛失してしまった場合でも、生前に付番を行っていれば、一つの金融機関の窓口で自分のマイナンバーが付番された口座の所在を確認することができます。

【実践編】マイナンバーと口座の付番・照会の手続きの流れと確認方法

では、実際にどのように手続きを進めるのか、生前の準備と相続発生後の流れに分けて解説します。

生前に行う「預貯金口座への付番(紐付け)」の手続き

マイナンバーと口座を紐付ける手続きは、以下の2つの方法で行うことができます。なお、この紐付けの手続き自体には手数料はかかりません。

1.金融機関の窓口で手続きする

普段利用しているメインバンクなどの窓口で申請します。原則として、本人特定事項(氏名・住所・生年月日)を確認できる書類と、マイナンバーが確認できる書類(マイナンバーカードなど)が必要です。

2.マイナポータルからオンラインで手続きする

スマートフォン等からマイナポータルにアクセスし、「金融機関へのマイナンバーの届出申請」から手続きを行います。この場合、マイナンバーカードを読み取る必要があります。

預金口座付番制度

参照:デジタル庁 預貯金口座付番制度(https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/c1c0269d-13ca-4b57-9a0f-c9a066fad457/24c5ac2e/20250331_policies_numbering-on-accounts_outline_01.pdf

【結果の確認方法】

複数の金融機関へまとめてマイナンバーの届出を行った場合、預金保険機構から「預貯金口座付番結果通知書」が普通郵便で自宅に郵送されます。マイナポータルから申請した場合は、マイナポータルの「お知らせ」画面に結果が通知されます。

相続発生後に行う「相続時口座照会」の手続き

万が一の相続が発生した場合、家族(相続人)は以下の流れで口座を一括照会します。

1.相続人が金融機関で申請

相続人のうち1名が、任意の金融機関で「相続時口座照会」の依頼を行います。申請には、亡くなった方の本人特定事項がわかる書類や、申請者が法定相続人であることを証明する書類、申請者の本人確認書類が必要です。

2.預金保険機構が各金融機関へ照会

受付後、預金保険機構がマイナンバー情報に基づき、各金融機関へ口座の有無をまとめて照会します。

3.結果の受け取り(確認方法)

後日、預金保険機構から相続人宛てに「相続時照会結果通知書」が書留郵便で届き、マイナンバーが紐づく口座の金融機関・支店・口座番号が記載されます(残高は不明)。

相続時照会結果通知書

抑えておくべき「手数料」と「期限」の重要ルール

相続時口座照会制度を利用する際には、必ず知っておくべき手数料と期限に関する重要なルールがあります。

1.1回の申請につき「5,060円」の手数料がかかる

「相続時口座照会」を利用する場合、1回の申請につき金融機関一律で5,060円(税込)の手数料がかかります。ここで最も注意すべきなのは、「もし故人の口座が1つも見つからなかった場合でも、この手数料は返金されない」という点です 。

2.利用できる期限は「死亡から10年以内」

相続時口座照会制度には期限が設けられており、原則として「被相続人(故人)が亡くなってから10年以内」に申し込む必要があります。相続手続きが難航している場合でも、口座の所在把握だけは期限内に早めに済ませておくことをおすすめします。

紐付けの注意点とデメリット

便利な制度ですが、制度の限界や注意点も理解しておきましょう。

1. 紐付けはあくまで「任意」である

金融機関へのマイナンバーの届出(付番)は、本人の意思に基づく「任意」の制度です。強制的に紐付けられることはありません。

2. すべての口座が確実に見つかるわけではない

相続時口座照会制度で一括照会できるのは、原則として「故人が生前にマイナンバーを登録(付番)していた口座」のみです。つまり、故人が紐付けの手続きを行っていなかった銀行口座は照会対象外となり、一覧には出てきません 。また、一部手続きの対象外となっている金融機関の口座も照会できません。そのため、この制度を利用した場合でも、従来の通帳やキャッシュカード、郵便物の確認といった地道な調査と並行して進めることが実務上は安全です 。

よくある質問(FAQ)

マイナンバーを口座に紐付けると、会社に副業がバレるって本当?

いいえ、マイナンバーが原因で副業がバレることはありません。

会社に副業が発覚する主な原因は、お住まいの自治体から勤務先へ送られる「住民税の決定通知書」によって、給与以外の収入(住民税の増加)が不審に思われるためです。マイナンバーを紐付けたからといって、新たに副業がバレる仕組みではありません。

給付金をもらうための「公金受取口座」を登録したら、他の全口座も勝手に紐付けられる?

いいえ、勝手に紐付けられることはありません。

「公金受取口座登録制度」と、すべての口座を紐付ける「預貯金口座付番制度」は全く別の制度です。そのため、公金受取口座を登録しただけで、他の口座へ自動的にマイナンバーが付番されることはありません。

マイナンバーの口座への紐付けは「義務(強制)」ですか?

いいえ、「任意」です。

預貯金口座への付番は、本人の意思に基づく任意の手続きであり、強制されるものではありません。

一度口座に紐付けたマイナンバーの付番を「取り消す」ことはできる?

原則としてできません。

一度付番が完了したあとに、その付番を取り消すことは原則としてできないとされています。

生前に口座を紐付ける(付番する)手続きにも手数料はかかる?

いいえ、無料です。

生前にマイナンバーと口座を紐付ける手続き自体には、手数料は一切かかりません。ただし、万が一の相続が発生し、ご家族が「相続時口座照会」を利用する際には、1回5,060円(税込)の手数料がかかります。

相続時口座照会をして、口座が1つも見つからなかったら手数料は返ってくる?

いいえ、返金されません。

照会の結果、故人の口座が見つからなかった場合でも、申請時に支払った5,060円(税込)の手数料は返金不可となっています。

まとめ

マイナンバーと銀行口座の紐付け(預貯金口座付番制度)は、「国に資産を監視される」「勝手に税金が引かれる」といった危険なものではありません。むしろ、ご自身が元気なうちに手続き(付番)をしておくことで、将来の相続時にご家族が銀行を駆け回る負担を劇的に減らすことができます。

相続発生時の照会には5,060円の手数料や10年という期限があること、また生前の付番が必要不可欠であることなど、制度のルールを正しく理解した上で、ぜひご自身のメインバンクやマイナポータルから、口座の紐付けを検討してみてはいかがでしょうか。


【相続税申告や手続きのお悩みは「税理士法人とおやま」へ】

いざ相続が発生すると、銀行口座の調査だけでなく、相続税の申告や遺産分割など、さまざまな手続きに直面します。「相続税申告が初めてで分からない」「税金を少しでも安く済ませたい」といったお悩みをお持ちの方は、新宿区・豊島区の相続に強い税理士法人とおやまにご相談ください。

税理士法人とおやまでは、以下の7つの強みでお客様を強力にサポートしています。

  1. 経験豊富な相続の専門家が対応
  2. 国税庁出身の税理士による徹底した品質管理
  3. 40年の経験と1,000件以上の実績
  4. 幅広い専門家とのネットワーク
  5. 良心的な価格設定
  6. アクセスが便利で相談しやすい
  7. 土日・平日夜間にも対応

電話やWeb面談(オンライン)でのご相談も可能で、遠方にお住まいの方でも安心してご依頼いただけます。ご自身やご家族の相続に関する不安を解消するためにも、ぜひ「税理士法人とおやま」の無料相談をご活用ください。

目次