お布施 封筒の書き方【見本あり】金額相場・渡し方

ご葬儀や法要を控えている方にとって、「お布施」は準備に悩むことの多い項目ではないでしょうか。しかし、お布施は単なる「料金」ではなく、仏教における深い意味合いと本質的な目的を持っています。この記事では、お布施の本来の意味から、その目的、そして具体的なマナー、相場、書き方、渡し方までを徹底的に解説します。この記事を読めば、お布施に対する不安が解消され、故人を偲ぶ大切な時間を穏やかな気持ちで迎えられるでしょう。

目次

1. 「お布施」の本当の意味と本質的な目的

お布施とは、「読経や戒名をいただいたことへの対価(料金)」ではありませんその本質は、仏様(ご本尊)へのお供えであり、ご本尊を守り、お寺を維持・運営してくださっている僧侶(お寺)に対する「感謝の気持ち」 を表すものです。

  • 仏様への感謝と寺院維持への貢献

葬儀や法要で僧侶が行う読経は、故人の安らかな眠りを願い、私たちが仏様の教えに触れるための大切な行いです。お布施は、その尊い行いへの感謝を示すものであり、僧侶の行為に対する「対価」や「報酬」ではなく、「お供え」としての意味合いも持ちます。浄土真宗においては、お布施は阿弥陀如来への感謝の気持ちと捉えられています。 また、お布施には、檀家がお寺を金銭面で支援する役割も含まれており、寺院の管理・記録にも役立ちます。

  •  仏教における「布施」という修行(布施行)

お布施は、単なる金銭の授受を超え、仏教の教えに基づく 「布施(ふせ)」という修行 に由来します。仏教には、悟りの境地に至るための6つの修行「六波羅蜜(ろくはらみつ)」があり、「布施」はその一つです。 布施には以下の3種類があります。

  1. 財施(ざいせ): お金や衣服、食料などの財を施すこと。お布施はこの「財施」に該当します。
  2. 法施(ほうせ): 仏様の教えを説き、伝えること。僧侶の読経などがこれにあたります。
  3. 無畏施(むいせ): 不安や恐怖を取り除き、安心を与えること。 私たちが「財施」としてお布施を行い、僧侶が「法施」として読経を行うことで、お互いができる「施し」を行い、徳を積み、故人の冥福を祈るという考え方です。
  • 「料金表」がない理由

もしお布施がサービスに対する「対価」であれば、料金表が存在するはずですが、ほとんどのお寺に料金表は存在しません。これは、お布施が「施主からの自発的な寄付・感謝の気持ち」という位置づけであるためです。 そのため、お渡しする際には「読経料です」や「支払います」といった言葉は使わず、「本日はありがとうございました。どうぞ御本尊様にお供えください」と一言添えるのが丁寧な作法とされています。また、僧侶によっては「お布施は読経供養の料金ではない」として、当日に受け取らない場合もあります。

2. お布施の準備:封筒の選び方・書き方・お札の入れ方

お布施を渡す際は、その準備にもマナーがあります。

2-1. 封筒の選び方

  • 白無地の封筒が基本郵便番号欄のない真っ白な無地の封筒を使うのが最も丁寧です。不幸が重なることを連想させる二重封筒は避けましょう。
    • 奉書紙に包むと丁寧:奉書紙(ほうしょし)と呼ばれる白い厚手の和紙でお布施を包むのも丁寧な方法です。
    • 水引について一般的には水引は不要ですが、京都や大阪などの関西圏や一部地域では、白封筒ではなく「黄色×白」の水引の袋を使用する習慣があります。ごく一部では不祝儀袋(黒と白)を使う地域もありますが、迷った際は厚手の白無地封筒を選べば失礼にはあたりません。水引を使う場合も、弔事用の陰数(偶数)ではなく、慶事用の陽数(奇数)で構いません。

2-2. お札の入れ方

  • 新札を用意する:お布施は感謝を伝えるものであり、不幸を予期して準備する香典とは異なるため、新札を用意しても問題ありませんむしろ、綺麗な新札を用意する方が丁寧とされています。
  • お札の向き:封筒の表側(文字が書いてある方)に対して、お札の肖像画が上に来るように揃えて入れます

2-3. 表書き・裏面の書き方

  • 筆記用具濃い墨の筆か筆ペンで、楷書で丁寧に書きます。香典のように薄墨で書く必要はありません。
  • 表書き(仏教全般)水引の上(封筒の中央上部)に「御布施」または「お布施」と書きます。その下に、施主の氏名をフルネームで書くか、「〇〇家」と書いても構いません。
宗派記載
浄土真宗「御布施」または「御礼」
×「御読経料」
×「御回向料」
神道「御祭祀料(ごさいしりょう)」
「御榊料(おさかきりょう)」
「御玉串料(おたまぐしりょう)」
キリスト教カトリック
「御ミサ料」または「謝礼」
プロテスタント
「献金」または「記念献金」
  • 裏面・中袋の書き方:中袋がある場合は中袋に、ない場合は封筒の裏面に、金額・住所・氏名を書きます。
    • 金額:改ざんを防ぐため旧字体の漢数字(大字) で「金 参萬圓也」のように書くのが最も丁寧です。死や苦を連想させる4や9は避けるべきとされています。
    • 住所・氏名:裏面の左下に、郵便番号、住所、氏名を書きます。
旧字体の漢数字
壱(一)弐(二)参(三)伍(五)陸(六)
漆(七)捌(八)拾(十)仟(千)萬(万)
御布施 封筒 書き方 見本

3. お布施の金額相場とその他のお金

お布施の金額は「感謝の気持ち」であるため明確な決まりはありませんが、一般的な目安は存在します。

3-1. お布施の金額相場

法要の種類や地域、お寺との関係性によって変動します。

法要金額
葬儀・告別式30万円~50万円
(戒名料を含む。戒名のランクによって大きく変動)
初七日法要・四十九日法要・一周忌法要3万円~5万円
三回忌以降の法要1万円~5万円
(回忌を重ねるごとに簡略化される傾向)
納骨式1万円~5万円
初盆・新盆3万円~5万円
お盆・お彼岸の法要5千円~2万円

金額に迷った場合

  • 過去の金額を参考にする。
  • 親族と相談して決める。
  • お寺に直接確認する:直接「料金はいくらですか?」と聞くのはマナー違反ですが、「今度、父の一周忌法要をお願いしたいのですが、お布施は皆様、どのくらいお包みされていますでしょうか?」のように、丁寧な聞き方をすれば、目安を教えてくれることがほとんどです。

3-2. お布施以外に必要なお金

状況によっては、お布施とは別に「お車代」と「御膳料」を用意する必要があります。これらは お布施とは別の封筒に入れて用意するのが正式なマナー です。

3-2-1.お車代(交通費)

僧侶に自宅や斎場など、お寺以外の場所へ出向いていただいた際の交通費です。

  • 相場:5千円~1万円。遠方の場合はそれに見合う金額。
  • 渡すケース:僧侶に来ていただいた場合。
  • 渡さないケース:こちらがお寺に出向く場合、または施主側で送迎を手配した場合。
  • 表書き:「御車代」または「御車料」。

3-2-2.御膳料(食事代)

法要後に行われる会食(お斎-おとき-)に、僧侶が参加されない場合にお渡しする食事代です。

  • 相場:5千円~2万円。
  • 渡すケース:僧侶が会食を辞退された場合、または会食の席を設けていない場合。
  • 渡さないケース:僧侶が会食に参加される場合。
  • 表書き:「御膳料」。

3-2-3.戒名料・卒塔婆料

葬儀では戒名料が、年忌法要では卒塔婆料がかかることもあります。戒名料はお布施に含めることが多いですが、別封筒にすることも可能です。卒塔婆料は別途3千円~1万円程度が目安です。

4. お布施のスマートな渡し方とタイミング

準備が完璧でも、渡し方で失敗しては台無しです。当日の流れをしっかりイメージしておきましょう。

4-1. 渡すタイミング

お布施を渡すタイミングに厳密な決まりはありませんが、以下のいずれかのタイミングでお渡しするのがスムーズです。

  • 法要が始まる前の挨拶時:僧侶が到着され、準備をされているタイミングで「本日はどうぞよろしくお願いいたします」と挨拶に伺い、その際にお渡しします。
  • 法要が終わった後の御礼の挨拶時:法要が無事に終わった後、「本日は心のこもったお勤め、誠にありがとうございました」と御礼を述べるタイミングでお渡しします。 どちらの場合も、他の参列者がいない場所で、落ち着いてお渡しできるタイミングを見計らうのがポイントです。

4-2. 正しい渡し方の手順

お布施は手渡しせず、お盆に乗せて渡すのが最も丁寧な作法です。

  • 袱紗(ふくさ)から取り出す:僧侶の前で、まず袱紗を開いてお布施の封筒を取り出します。お布施は必ず袱紗に包んで持参しましょう。紫色の袱紗は慶弔どちらでも使えるため便利です。
  • 切手盆に乗せるか、袱紗を座布団代わりにする:持参した切手盆(小さなお盆) の上にお布施を乗せ、僧侶から見て正面になるように差し出します。もし切手盆がない場合は、たたんだ袱紗を座布団のようにして、その上にお布施を乗せて差し出します。
  • 感謝の言葉を添えて渡す:お布施をお渡しする際は、感謝の言葉を必ず添えましょう。
    • 挨拶の例文:「本日は、父の一周忌のためにお心のこもったお勤めをいただき、誠にありがとうございます。些少ではございますが、どうぞ御本尊様にお供えください。」 「お勤めありがとうございました」「お納めください」といった言葉も適切です。
    • 複数の封筒の場合:お車代や御膳料と一緒に渡す場合は、お布施を一番上にして重ね、その下に「お車代」、一番下に「御膳料」の順になるようにして渡します

5. まとめ

お布施は、故人を供養してくださることへの感謝の気持ちを形にして表す、仏教の教えに基づいた非常に大切な行いです。単なる支払いではなく、仏様への感謝と徳を積む修行としての意味合いを深く理解し、適切なマナーで準備し、お渡しすることが肝要です。

この記事を参考に、お布施に関する不安を解消し、故人を偲ぶ大切な日を穏やかな心でお迎えください。

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