
顧問税理士は、日々の会社の経理や決算をサポートします。経営者の皆様にとって、それは会社を共に成長させる大切なパートナーです。
一方で、いざ「相続」や「事業承継」となった際、税務のルールや求められる視点は大きく変わります。税理士の仕事も、医師の専門分野が分かれているのと同じです。法人税のプロが、必ずしも資産税(相続税・自社株評価・不動産評価)の実務に精通しているとは限りません。
税理士法人とおやまの強みは、日々の法人顧問を通じて培う財務理解をベースにしながら、高度な相続実務や自社株・不動産評価まで一気通貫でサポートできる点にあります。
会社の決算という「現在」を整えるだけでなく、築き上げた資産を次世代へ引き継ぐ「未来」を見据えたコンサルティングの視点を、実際の税務実務を交えてご紹介します。
1. 配偶者控除の罠?「二次相続」までトータルで計算する重要性
相続対策において、最も注意しなければならないのが「二次相続(将来、残された配偶者様も亡くなられた時の相続)」です。
一次相続(お父様が亡くなられた時)において、配偶者には「1億6,000万円(または法定相続分)」まで相続税がかからないという強力な特例(配偶者の税額軽減)が用意されています。そのため、「今回はお母様がすべて相続して、目先の税金をゼロにしましょう」という分割案がよく選ばれます。
しかし、将来お母様が亡くなられた時(二次相続)には、当然ながらこの配偶者控除は使えません。さらに、法定相続人の数が減る(お母様が亡くなり、お子様だけになる)ため、基礎控除額や生命保険金の非課税枠も少なくなってしまいます。
実際にどれほどの差が生まれるのか、具体的な試算を見てみましょう。
【2億円の財産を相続するモデルケース】
- 一次相続(夫が死亡):相続人は妻と子2人(計3人)
- 二次相続(妻が死亡):相続人は子2人 (※一次の基礎控除額は4,800万円、二次の基礎控除額は4,200万円に減少します)
- ① 妻が配偶者の税額軽減を限度まで利用して分割する場合
- 一次相続での税額は、配偶者控除のおかげで「540万円」と低く抑えられます。しかし、お母様が亡くなられた二次相続時には控除が使えないため、お子様2人にかかる税額が「3,340万円」へ跳ね上がります。一次・二次の合計納税額は【3,880万円】となります。
- ② 法定相続分どおりに分割する場合
- 一次相続での税額は「1,350万円」と一見高く見えますが、二次相続時の税額を「770万円」へと抑えることができます。 この場合の合計納税額は【2,120万円】となります。
目先の税金を下げるために配偶者へ財産を集中させるか、将来の二次相続まで見据えておき、あえて一次相続の段階から適正にお子様へ分散させておくかによって、トータルで支払う税金に【1,760万円】もの差額が生まれてしまうのです。
当法人では、一次相続の段階から二次相続まで見通したシミュレーションを行い、ご家族全体で支払う相続税がトータルで最も少なくなる遺産分割案をご提示いたします。
2. あえて贈与税を払って手残りを増やす、計画的な生前贈与
生前贈与は、将来の相続財産を減らし、お子様世代へ早く資産を移すための有効な手法です。 一般的には「年間110万円の非課税枠(暦年贈与)」の範囲内で行われますが、資産規模によっては、あえて少しの贈与税を「今、先払い」してでも、まとまった額を早く次世代に移した方が結果的に大きく得をするケースがあります。
【モデルケース:3人のお子様に、年間310万円ずつ贈与する場合】
年間310万円の贈与を行うと、非課税枠(110万円)を引いた200万円に対して10%の贈与税がかかり、お子様1人あたり年20万円(3人で年60万円)の納税が発生します。
7年間継続した場合
- 移転できる資産総額:6,510万円
- 支払う贈与税の合計:420万円(実効税率 約6.5%)
もし、この6,510万円をそのまま保有し続け、将来30%〜40%といった高い税率で相続税が課されるのであれば、低い負担率で計画的に財産を移転しておく方が、最終的な手残りは格段に多くなります。
注意すべき「7年ルール」と適正な贈与額の算出
ただし、生前贈与を行う上で絶対に無視できないのが、税制改正による持ち戻し(加算)ルールの変更です。 相続開始前にされた生前贈与の加算期間は、従来の「3年間」から実質「7年間」へと延長されました。これにより、亡くなる直前の駆け込みでの贈与は、相続税の節税効果が薄れてしまいます。
だからこそ、生前贈与を成功させるためには、早い段階からの綿密なシミュレーションが必要です。
当法人では、まずお客様の資産全体の相続税シミュレーションを行います。将来的にかかるであろう相続税率をあらかじめ把握した上で、それを下回る税率で効率よく資産を移転できるよう、将来の相続税を最も低く抑えるための「最適な生前対策」を提案いたします。
3. 「現地」と「役所」に足を運び、不動産の適正価値を見出す
相続財産の大部分を占めるのが「不動産(土地)」です。不動産の評価額は、税理士の地道な調査によって最も大きく差が出るポイントと言えます。
日常の法人会計がメインの税理士の場合、どうしても机上の路線価だけで機械的に高額な計算をしてしまいがちです。しかし、実際の土地にはさまざまな減額要素(評価を下げられるポイント)が隠されています。
当法人の専門スタッフは、机上の計算だけで済ませることはありません。
- 現地調査: 実際に現地へ足を運び、土地のいびつな形(不整形地)、道路との高低差、騒音や振動、土地の傾斜(斜面)など、評価額を下げるための要因を自分の目で探します。
- 役所調査: 市役所等で建築基準法上の制限を綿密に確認します。たとえば「道幅が狭くセットバック(道路後退)が必要な部分がある」「将来の再建築が難しい土地である」といった法的制限が判明すれば、土地の評価額を合法的に大きく下げることが可能です。
実は、税務署は税金を少なく申告すると厳しく指摘してきますが、不動産の評価ミスなどによって「多く払いすぎていた」としても、親切に戻してくれることはありません。
だからこそ当法人では、税務署に指摘されない適正さをしっかりと保ちながら、財産評価のルールを遵守した「最大限の節税」を徹底して行います。
4. 「不動産投資」としてのシビアなビジネス視点
銀行やハウスメーカーから、「相続税対策になるから」とアパートや賃貸マンションの建築を勧められた経験をお持ちの経営者様は多いでしょう。 確かに、多額の借金をして建物を建てれば、一時的な評価額の圧縮による節税効果は得られます。
しかし、周辺の賃貸ニーズを無視し、将来の空室リスクや管理コストを甘く見積もってアパートを建ててしまえば、それはのちに経営や家計を圧迫する、文字通りの「負動産(お荷物となる不動産)」になってしまいます。
私たちは、単なる「節税という言葉」に惑わされない、シビアな投資・ビジネス的視点を持ったアドバイスを行います。
私たちは、単なる「節税という言葉」に惑わされない、シビアな投資・ビジネス的視点を持ったアドバイスを行います。
- 優良資産の選別と組み替え: 収益を生まない土地は無理に活用しようとせず、売却して収益性の高い優良な不動産へ買い替える(資産の組み替え)など、不動産を「経営資源」として捉えたご提案をいたします。
- 不動産所有法人の設立: 不動産を個人のまま所有するのではなく、法人化して管理させるスキームです。個人の所得税より低い法人税率の適用や、役員報酬による家族への所得分散、さらには将来的な自社株評価の計画的な引き下げなど、経営者だからこそ実践できる数多くのメリットをご活用いただけます。
会社とご家族の未来を、一気通貫で支えるパートナーとして
相続税の申告期限は、相続発生から「10カ月」です。実際に相続が起きてから打てる対策は限られています。
会社の業績を伸ばし、財務を強固にする「法人税」の視点。そして、築き上げた事業と資産を、次の世代へ円滑に引き継ぐ「資産税」の視点。この両方を深く理解してこそ、経営者様にとって本当に価値のあるご提案が可能です。
「自社の株価が今いくらになっているのか把握したい」 「将来の事業承継や個人の相続について、客観的な税務試算をしておきたい」
事業の継続とご家族の安心のために、まずは現状の資産構成や税務リスクの正確な把握からご相談ください。
税理士法人とおやまが、将来を見据えた最適な道筋を共に考えます。
