相続が発生し、遺産分割をする際にあらゆる財産や権利を法定相続人で分割して承継することになります。未回収の代金などを請求する権利である債権は相続することができるのでしょうか。当記事では債権の相続についてポイントをおさえて解説します。

相続できる債権とできない債権がある
債権の中にも相続できる債権とできない債権があります。相続できるものには他人にお金を貸しており、返してもらう権利がある場合や事業をしている場合の未回収の売掛金、所有している土地・建物などの不動産を賃貸している場合の未回収の家賃、事故などで損害を被った際の請求権などがあげられます。借金がある場合も相続人が承継しますがこれらの貸金などの債権は債権者が亡くなった場合、相続財産と同じように財産に含めて家族が引き継ぐことになります。そのため、遺言を書いておき、相続が発生する前に誰が引き継ぐかを決めることも可能です。ただし、相続放棄をした者は後で話し合いに参加して債権だけ相続するということはできません。
一方で相続できない債権は養育費や年金の受給権などがあげられます。相続できない債権は一身専属権と呼ばれるもので被相続人が権利を持っていたものの相続により、実際に相続人が承継することが馴染まない債権です。
分けられる債権と分けられない債権
債権の中にも分けられる債権と分けられない債権があります。分けられる債権は可分債権と呼ばれ、金銭債権などがあげられます。お金を貸しており返してもらう権利のような可分債権は配偶者や子などの法定相続人が法定相続割合を基準に全員で合意したうえで承継し、取得した債権の額に応じて返済してもらいます。預貯金も銀行にお金を預けており、その後でいつでも引き出すことができるので金銭債権の一種です。
一方の分けられない債権は不可分債権と呼ばれ、貸している物を返してもらう権利などが例としてあげられます。物を返してもらう権利も、遺産相続の対象となり不可分債権がある事例では法定相続分通りにわけるということができないので、個人が単独で取得する必要があります。遺言書がない場合、相続開始後の遺産分割協議によって全員で協議して誰が債権を承継するかを検討して決めることになります。
仮に債務者がものを返さないなどのトラブルが発生した場合は相続した人が訴訟を起こすことが可能です。トラブルになる可能性がある場合、早めに専門家に相談するようにしましょう。
相続のお悩みは専門家に相談を
相続の手続きは預金をしている金融機関の名義変更や不動産の登記など各種手続きについて期限を確認しながら手続きを行う必要があります。
遺産の分割には民法の知識が必要です。相続について経験がある人は少なく、不明点や不安がある場合は司法書士や弁護士などに相談して手続きを進めた方が良いでしょう。自分では解決できない問題も、専門家の知識を借りることで解決できる方法が見つかる場合もあります。
また、財産の総額が基礎控除を超える場合、相続発生から原則10ヶ月以内と定められており、短い期間で相続税の申告が必要となります。相続税の申告は遺産の評価を行い、一覧を作成したうえで書類を提出する必要があります。特例等を活用し、自分で計算を行うことが難しい場合は税理士にサポートを依頼し、期限内に手続きを進めることが重要です。専門家に依頼することで費用はかかりますが、正確に判断し、確実に進められるというメリットがあります。
また、事前に対策を行っておくことで、遺産の配分や債務者の債権の回収も問題なく行えるケースが多いでしょう。生前の対策や節税も普段から業務として行っており相続に強い法律事務所や税理士事務所に所属している専門家に相談することで安心して進めることができます。
司法書士や弁護士、税理士は初回の相談無料で対応している事務所も多くあります。まずは電話やメールで気軽に問い合わせてみると良いでしょう。