
タワーマンションとは、高さ60m超、20階以上のマンションのことをいいます。タワーマンション節税は、相続税評価額と時価の乖離を利用した節税方法です。
相続税対策としてこのタワーマンションを使った節税が行われました。これに対して待ったがかかったので2024年の改正です。
タワーマンション節税や2024年の改正について本記事では取り上げていきます。
-
タワーマンション節税とは
-
2024年の改正について
- タワーマンション節税終了は本当か?
- まとめ
1.タワーマンション節税とは
タワーマンション節税は、相続税評価額と時価の乖離を利用した節税方法です。
相続税評価額: 相続時に財産を評価する際の価額
国税庁が定めた基準(財産評価基本通達)に基づいて算定されます。
時価: 市場における売買価格
一般的に、不動産の相続税評価額は時価よりも低く算定されます。特に、タワーマンションは土地の持分が小さくなる、建物の評価額が低くなるという2つの理由から、時価と相続税評価額の乖離が大きくなる傾向があります。
さらに、相続税だけでなく固定資産税についても節税効果が期待できます。
200㎡以下の住宅用の土地については、通常の固定資産税を1/6をかけた額を固定資産税として適用する規定があります。マンションは土地を多くの戸数で按分するため、高い確率でこの特例を受けることが出来ます。
2.2024年の改正について
2024年1月1日より施行されたタワーマンションの相続税評価額の見直しでは、従来の評価額と市場価格の乖離を是正するため、4つの指数に基づいた評価額の補正が行われます。
補正の対象となる4つの指数
築年数: 築年数が経過するほど、建物の価値は減少するため、評価額も引き下げられます。
総階数(総階数指数): 高層階ほど眺望や利便性が良く、希少価値が高いため、評価額も引き上げられます。
所在階: 上層階ほど評価が高く、低層階ほど低くなります。
敷地持分狭小度: 敷地の広さや形状が評価に影響します。敷地持分が狭いほど、評価は低くなります。
これらの変更により、タワーマンションの評価額は全体的に大幅に上昇しています。具体的には、東京23区の高層タワーマンションの場合、評価額が2倍以上に跳ね上がるケースも少なくありません。
3.タワーマンション節税終了は本当か?
ルールの改正によりタワーマンションの評価はどれほど変わってくるでしょうか。
以下の例をみてみましょう。
新宿区にあるタワーマンション
総階数26階 築年数9年 所有階23階 床面積68.75㎡
改正前の評価 | 改正後の評価【A】 | 増加額 |
---|---|---|
1,941万円 | 3,856万円 | 1,915万円 |
割合 | 市場価額【B】 | 【A】÷【B】 |
198% | 1億4千万円 | 27% |
この改正により、タワーマンションの評価は約2倍(1,941万円⇒3,856万円)に跳ね上がっています。
一方で市場価額と比較をしてみると、依然として3割以下(27%)におさまっています。改正前は、市場価額の約13%(1,941万円÷1億4千万円)だったため、改正されるべくして改正されたように思えます。
そのため、タワーマンションを購入することによる節税ができなくなったかというと以前ほどの効果はなくなりましたが、まだまだ節税効果が期待できることがわかるかと思います。
ただし、タワーマンションを購入する場合には、以下のケースにあてはまると税務署から否認されてしまうケースがあるため、注意が必要です。
タワーマンションを亡くなる1年以内に購入をしている
認知症の疑いがあり、購入意思が曖昧である
節税目的での購入である
相続が発生した後にすぐに売却をしている
4.まとめ
タワーマンション節税と改正について説明をさせて頂きました。税制改正により以前ほど節税の効果は薄れてしまいましたが、依然として節税効果は大きいといえます。タワーマンションを節税目的で購入してしまうと税務署からの否認されてしまうケースが考えられるため、専門家に相談をすることをお勧めしております。